119: 名無しさん@おーぷん 2017/02/03(金)22:08:57 ID:???
大学卒業後三年ほど引きこもり、現在は週三の短時間のパートでリハビリ中。


引きこもったことのある奴なら分かるだろうが、引きこもっている間は色んな負の感情が頭をグルグル巡って増幅されていくんだよな。
引きこもってる間は悩んでも悩んでも現状は何も変化せず、問題が打破されることがないから新しい記憶は増えず、昔の悪い思い出だけが感情の糧になる。
髪の毛を引きちぎりまくって床が抜け毛まみれになる。
表情筋を動かさないから頬が垂れ下がる。
ふと鏡に写ったあの頃の自分の姿は思い出したくない。
物の考え方は拗れる。
ネットの中での卓上の理論だけが物を考えるための材料になるからな。

引きこもっている間は基本的に盆や正月に親戚が集まってきた時は部屋にこもっていたんだが、
「そろそろお年玉の一つでも出しなさい」
と母に言われて、一度だけ居間に出たことがある。




三年間、変化のない単調な時間だけが降り積もっていたが、その時のことだけは明白に覚えている。
叔父と母は当時大学に通っていた従妹の生活について話していた。

叔父と二人きりになった時を見計らって、
「若い女に学費や金を与えなければ生活の糧を得るために風俗に流れる若い女が増える。
学歴を与えなければ生活のために結婚する女が増える。
それは男にとって有益なことじゃないですか?
どうです?協力しませんか?」

と提案した。

胃の辺りを思い切り殴られた。

引きこもっている間に腹筋が衰えていたもんだからダイレクトに響き、
「かひゃっ」
という間抜けな声を出して尻餅を付いてしまった。
叔父は何も言わなかった。
幸い、叔父は俺の発言を誰にも話さないでくれたから大事にはならなかった。
翌年から叔父一家は来なくなったが。


今は些細なことが楽しい。
気温や湿度で四季を感じる、家のそばの海の潮風、客の感謝の言葉、品物を並べる度に実感する季節。
こういう些細なものにホッとする。

もうあの頃には戻りたくない。



点滴 釣鐘の音 現代日本のエッセイ (講談社文芸文庫)