595: 名無しさん@おーぷん 2016/01/27(水)15:31:53 ID:D97
叩かれ覚悟で書こう。
見た目が醜い奴が心まで醜かった話。

俺には腐れ縁の幼なじみのにーちゃんがいた。
にーちゃんはジャイアンみたいな性格で、俺はスネオみたいに子分扱いをされていた。
さらににーちゃんは体格が良かったから子供の頃は力が強く、周りから恐れられていた。
それが俺にはヒーローのように見えて憧れもあった。
俺にとってにーちゃんはカッコいい男で、だからにーちゃんは絶対的存在だった。

その認識が揺らいできたのがにーちゃんが中学生、俺が小4になったあたりだった。
中学生になったにーちゃんは急に陰険になり、引きこもり気味の乱暴者になった。
それまではどこか一本筋が通っていたのに、中学生になったにーちゃんは癇癪を起こしては暴力を振るうクズになりさがった。
けどそれでも俺に対してはまだジャイアンのように虚勢を張って振舞っていた。




にーちゃんが変わってしまった原因が解ってきたのは俺が中学生になってから。
にーちゃん、とんでもないブ男だった。
千原せいじの顔を丸くして目を蜂に刺されて出っ歯にした顔がにーちゃんに似ていると思う。

それまでは
(にーちゃん独特な顔してるなー)
とは思ってたが、美醜を意識しだすようになるともうにーちゃんがかっこいいなんて到底思えなかった。
視力が落ちてデカイ黒縁メガネをかけたにーちゃんが、ジャイアンから醜く太ったのび太にしか見えなくなった。

そして同時にちびで色白でヒョロくてキモいと言われていた俺が部活を始めてから急に背が伸びてモテだし、学校では五人から告白され、ラブレターも何通かもらい、中2の頃には高校生に間違えられてギャルからナンパされたりもした。
にーちゃんにパシられ慣れた俺は、気づかぬ間に気遣いのできるイケメンにクラスチェンジしていた。
よく考えればガンで亡くなったおふくろは海外でモデルやってたんだから母の遺伝と考えるとイケメンは当然だった。
それを自覚したらにーちゃんの言うことを聞く必要性が見いだせなくて、その時立場は逆転した。

596: 名無しさん@おーぷん 2016/01/27(水)15:32:17 ID:D97
高校生になった俺は両親のおかげでモテまくった。
逆ににーちゃんはネットにのめり込んでブイブイ言わせていた。
社長の息子で親の金を好きにしていたにーちゃんは課金をしまくり、ギルド最強の戦士とやらにクラスチェンジしていた。
ネットの中だけは小学生の頃のにーちゃんが息を吹き返していた。

にーちゃんはもう二十歳も超えて “年齢イコール彼女なし” であることに危機感を覚えていた。
ネット界ではゲーム内最強のウィザードであっても、リアルで魔法使いにはなりたくなかったらしい。
ゲーム内でブイブイ言わせて女を釣ってはオフ会してこっぴどく振られるを繰り返していた。
特ににーちゃん、金だけはあるものだからさんざんアイテムを貢がされて捨てられることもあった。
しかも顔まで晒されるおまけ付き。

二年ほどしたある時、にーちゃんは俺に泣きついてきた
「助けてイケえもん!
純情派な女だと思って半年も付き合って(ゲーム内で)面倒見てやったのに、急に『ゲームやめる』ってアイテムも返さずギルド抜けてったが奴が居る!
一番長続きしたのに!」

その後長々と喋ってたけど要約するとイケメンの俺がにーちゃんの代わりにその女に会って、『惜しい男を振った!』と思わせてほしいと。

復讐に燃えるにーちゃんはしつこかった。
俺はにーちゃんの願いを聞き入れることにした。
女には会ってにーちゃんの異常性を伝えて帰るつもりだった。

それから程なくオフ会が実現した。
にーちゃんを振ったと言う女は、とんでもなく美人だった。
ていうかとある業界で有名な人だった(アイドルとかじゃないよ)。
名前をネットでググったら写真付きで出てくる人。

こちらが度肝を抜かれていると相手は丁寧に挨拶をしてきた。
こちらも挨拶を交わして喫茶店に入った。
俺はどういった名目でこの人を呼び出したのか聞いてなかったが、その人はカバンから封筒を取り出し俺に渡してきた。
「ちゃんと入ってますので確認してください」
と俺に中身の確認を促した。
中身は10万。
何のお金か聞いたら、驚いたように
「今日は目をかけてやった分を返せって呼び出しましたよね?だからお金を…」

俺は封筒をそのまま突き返してにーちゃんのことを話した。
そして
「いくら彼氏だからってお金をタカるのは良くないってわからない?」
と説教
すると相手は困ったような顔をして
「お付き合いしたことはない」
と宣言。
ん?話が違うぞ?

話を聞いて要約すると、
にーちゃん、勝手に彼女扱いして勝手にアイテム貢いでただけらしい。
後ほどネトゲをしている人に聞いたらウラもとれた。
要はにーちゃんが執拗なストーカーだった。

「それでもどうして急にゲームやめたの?」
と話をきいたら、にーちゃん、この人が上野動物園に行った話をしたら、動物園の動物たちがいかに客をナメてるかを話した後、
『動物たちが大便する話』を延々と続けたらしい。
それがどーしても、どーーしても、どーーーしても受け入れられなくて、気持ち悪くて、ストーカー行為が一気に許容できなくなり、楽しかったゲームを辞めたんだそうだ。
にーちゃん、女の人相手に延々と大便の話はねーよ…。

にーちゃんには
「相手は泣いて悔しがってた」
と説明しといた。

俺は同じ業界で生きる女の人と気が合い、今でも頻繁に会ってお互い仕事のやり取りとかしてる。にーちゃんは30手前にしてまだ女を漁ってる。
にーちゃんの親がそろそろにーちゃんを叩き出す話をしてるから、にーちゃんに頼ってこられる前に俺も引っ越して縁を切る予定。



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